seigikann’s blog

歩んできた警察人生、成長していく中で分かってきた組織の闇と腐敗した体制を公開、小説、エッセイ、日記的に楽しんで頂ければ幸いです。

実務修習2当直目 夜の部

中央警察署すすきの交番の隣の交番に配置され、昼間はいいだけ交通取り締まりをしてノルマを稼いだ先輩達

夜はとなりの交番、おまちかねの最大の交番すすきの交番に応援に出かけます。
パトカーはおじいちゃん部長に預けて先輩2人と歩いてすすきの交番に行きます。

すすきの交番は、頭が警視の階級、通常は警察署長や副署長の階級です。

警視が一人警部が一人
この2人は現場には出ず交番から指示を飛ばす現場指揮班
警部補が一人巡査部長か2人巡査が6人いる最大の箱になります。

1当直にこれだけ人がいます、つまり交番は3交代制なので単純に3倍すすきの交番に人がさかれています。

とはいいつつ、現場に出るのは巡査6名です。
身柄つまり逮捕事件になれば部長や警部補がでっぱり、身柄にならないしょんべん事件は巡査だけで収めて帰ります。
酔っぱらいが暴れたとか酔っぱらいが揉めてるとか酔っぱらいが寝込んでいるとか

しかし、すすきの交番についてまもなく変死の通報が入りました。 
独居老人宅から異臭がするから大家が鍵開けたらなかでおじいちゃんが倒れているといいます。

この日すすきの交番ととなりの交番に配置されていたのが私一人でしたので変死現場に連れて行ってもらいました。

現場につくと部屋が真っ暗
とにかく部屋に入ろうとドアをあけると窓にびっしりハエが張り付いていて一斉に外に飛び出しました。室内の窓という窓にハエが張り付いていて光を遮断していたのです、遺体からウジがわき成長したのだとか

現場で先輩が関係者に話を聞いていると刑事が到着してあっと言う間に引き継いで現場を離れました。

交番は初動捜査のみ、あとは刑事とか専門に引き継いで交番は次の事件に備えて現場をはなれるのです。
  
帰ってくると夜飯を出前で取るところでしたので、便乗します。
先輩は私が遺体をみたから当分肉の類は食べられないな、とニヤニヤしていたらしいですが、私が普通に肉料理を平らげたので、先輩から、お前少しおかしいわ、ネジ飛んでるね とお褒めの言葉を頂いたのでした。

夜はどんどんふけていき深夜0時を回ろうかと言う時、110番通報で酔っぱらいが暴れておりその関係者が血を流して倒れている模様と通信指令室から無線が入りました。
通信指令室とは警察本部地域部通信指令室の事で110通報を受けて無線で指示する部署です。

行くぞと声をかけられて先輩巡査と走りました。
現場は騒然、暴れている酔っぱらいを後ろから羽交い締めにして止める友人
交番員3人で暴れバカを止め制圧、私と先輩は関係者らに対して事情聴取
すると、飲み屋でたまたま知り合いとかち合い、一緒に飲んでいたが、口論となり暴れバカが表出ろやと被害者の首根っこをつかみ外に出て、一方的に殴られたというのです。
よく聞くあれですね、なぜ殴らなきゃららんのか?

今は20年もやってきた居るので、はー、またか くだらねーって感じますが当時は聞くもの見るもの新鮮で、緊張もあり冷汗が止まりませんでした。

現場特有の緊張感というか、なんなんでしょうね、あれは
とにかく新人前の実務修習で逮捕劇を体験できたのは運がよかったっです。

殴ったのか?殴ったよ 殴られたのか?殴られたよ
はい、暴行の現行犯人逮捕
被疑者を応援に駆け付けた自動車警ら隊、通称自ら隊のパトカーに乗せ、逮捕者の先輩が乗り込み、残りは現場の関係者を選定して中央署に引っ張っていく班、現場検証班と別れます。

このくらいのしょんべんファイトであれば刑事課の連中は現場には来ません。

私は関係者らとともに警察署へ戻り刑事課の部屋に入ります。
初めて入ったのが中央署の刑事部屋、センター警察署です。

4枚の報告書をパパパっと書いて終了です。
簡単なものです。
だがしかし、刑事の納得する報告書が書けません。ダメ出しされまくり、結果3,4枚の報告書で4時間かかっていました。

その間、私は別の先輩と一緒に誰もいなくなった犯行現場に舞い戻り、メジャーをもって再見分 てか図り忘れを刑事に指摘されたから私を連れて現場に来たという事です。

現場には舞い戻ったのは朝の5時ころ、寝てません。
今思えば寝ないなんて当たり前のことですが、当時はふらふらでした。

また中央署に帰り、実務修習生は時間がきてタイムアップ 護送車に乗り込み、バタバタと警察学校へ帰りました。

現場では逮捕して刑事にダメ出しされて書類を直してOKが出るまでずっと刑事部屋に監禁されます。
理由は、刑事が作ったほかの書類と整合性を取るために、通常、身柄事件で書類の先頭に来るのが逮捕手続き書、この逮捕手続書をほかの証拠書類に合わせなければいけないという事なのです。
加えて交番員はこの瞬間を逃せば訂正が2日後になるので時間がかかります。
だから彼らの当直が終わっても書類の訂正をさせるのです。

ちなみに逮捕手続書は、現場のことがすべて書かれているので、検察庁へ身柄を送致する場合書類も一緒に送ります。検事が最初にみる書類かつ、裁判で重要視されるのが手続書なのです。
大事なのです。

 

でも、ポンコツの交番員が書く書類、刑事がかけばよかろうもん

そうなのですが、こればっかりは逮捕した交番員が見たままの報告書をかくルールなのです。

現場にいってもいない刑事が手続き書を書いても変だし、そもそも裁判所に嘘を提出することになりますので、ダメですね。

まあ、組織ぐるみで平気でうその事件をでっちあげているのもたくさんありますが・・・

でも手続書だけは現場で逮捕した人間しかかけない唯一の生の書類なのです。だからこれだけは正確に書かねばなりません。

この日、同期の中で逮捕事案に遭遇したのは私だけでした。
警察学校に帰り同期からどうだった?と質問攻めにあったことは言うまでもありません。

初日と同じように風呂に入り飯を食らい、泥のように寝ましたが、初日と違うのは逮捕事案に遭遇したことから、学生の顔からすこーしだけ現場の警察官の顔になっていた   かもしれないという事です。